KAZUMA OBARA

IAEA -福島閣僚会議

«Children and Campaign at Fukushima ベトナム、タイアン村記録プロジェクトを開始しました。»

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12月16日、前日に仙台で撮影を終えた私は、高速バスで福島県郡山市へと向かった。政府が国際原子力機関(IAEA)と共催する「原子力安全に関する福島閣僚会議」を撮影する為だ。15日〜3日間の日程で約130カ国から関係者が福島に集った。

会場であるビックパレットは1年3ヵ月前まで、福島県内で最も大きい避難所であった。主に富岡町、川内村からの避難民がピーク時で約2000人、ここで暮らしていた。現在は避難した住民の一部が直ぐ脇の仮設住宅で暮らしている。

空港の荷物検査を思わせる検査機会が3台設置されたセキュリティーチェックをくぐり抜けると福島の県産品を販売するブースや真っ赤な布で覆われた茶席が用意され、海外から来た参加者たちが思い思いの記念写真を撮りながら、休憩時間を過ごしていた。

1階フロアには、東日本大震災の被害状況を表すパネルや現在の事故に対する取り組みとともに、この機関が紛れも無く原子力を推進する機関であることを誇示するかのように「MAKING NUCLEAR POWER SAFER THE IAEA Action Plan」と大きく印刷されたパネルが並ぶ。パネルディスカッションが行われるメイン会場の前には、「Message from people of Fukushima」と題した市民からのメッセージが張り出されている。会期中に一般市民から寄せられたメッセージをそのまま貼ってるとあって、他の展示物に比べたらかなり貧相な展示ではあるが、メイン会場の入り口の前にある休憩スペースにあり、時折、この文章を読んでいる参加者が見かけられた。

熱心に携帯カメラで撮影していたジンバブエ大使に、このようなものを見るのは初めてかと聞くと、「会議の中では政策的な話しかしないし、このような声を読むのは始めてだ」と。他の参加者に数人に話を聞いたが、皆、口を揃えて、初めて見ると話していた。

私が撮影したパネルディスカッションの中身は「東電福島原発事故を踏まえた原子力安全の強化」というものだったが、IAEAの規制だけでなく、それ以外の規制組織と各国の取り組み方針等、それぞれを分析しなければ、現段階の私の知識ではまとめることが不可能な内容なので、それは後日、私の勉強不足を補いながら、改めて報告させて頂きたいと思う。ただ、一つだけ今回のディスカッションの中で明確に認識したことがあるとしたら、IAEAにとっての原発事故は、起こりうる可能性をもっているものであり、その原発事故に対して、どのような対策を講じることが出来るのかというスタンスであり、その点、事故は起こらないとして推進してきた日本とは、リスク管理の上では真っ当な考え方をしている。しかしながら、被害がおこることを前提に進めているだけあってよりタチが悪い。国を越えた被害が起きる可能性があるから、止めるべきだという論理構造は彼らにはない。それは、推進しない機関がやるべきものなのだ。おそらく、彼らにとって被害とはデータであって、血の通った人間に起きている問題ではない。

いずれにせよ、展示パネルにしろ、各省庁からの報告にしろ、県の報告にしろ、極めて順調な事故収束の経過と比較的問題が少ない健康調査結果がIAEAに報告されている。これらの多くは選挙報道によって伝えられてはいないし、IAEAにとっては歓迎されるものかもしれないが、今後、明るみになるにつれて、さらなる信頼失墜を招くことは間違いない。

ディスカッション中、同時通訳された女性の声から、福島の教訓という言葉が幾度となく繰り返された。原子力を推進して行く上で必要とされる教訓、そして、それを裏付けるデータは、今後IAEAと福島県が協力して進めるプロジェクトの中で吸い上げられて行く。

この日、郡山駅前で僕の線量計は毎時0.6μSvを示し、ビックパレットまでの約30分の道のりでは、0.3μSv/時にアラームが設定された線量計は鳴り止むことが無かった。福島県内で最も大きい室内遊戯施設では、一日平均1000人の親子が屋内に設置された砂場や遊戯施設ではしゃぎまわっている。

ビックパレットの中と外の空気の違いは、一般市民が思う教訓との違い程に大きかった。

原発いらない福島の女たち 「原子力安全に関する福島閣僚会議」に対する福島県知事への申し入れ 12月14日

日本政府が国際原子力機関(IAEA)と共催で開催する「原子力安全に関する福島閣僚会議」12月16日

福島県内最大の屋内遊戯施設、PEP KIDS KORIYAMA 12月17日

その他福島市、郡山市内風景 12月14日〜18日




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