Kazuma Obara

»Works

»Books

»Exhibition/Talk

»Workshop

»Essay/Book Review

»Media

»SNS

小原一真写真展「30年後に見えなくなるもの」@大阪、フォトギャラリー・サイ 教育機関、若者世代への告知協力のお願い

  • 2019/01/4
Arrow
Arrow
ArrowArrow
Slider

 

 

小原一真写真展「30年後に見えなくなるもの」@大阪、フォトギャラリー・サイ
教育機関、若者世代への告知協力のお願い

2011年より福島第一原発事故の取材を始めた私は、2015年より原子力発電所事故の過去、現在、そして未来への理解を進めるため、チェルノブイリ原子力発電所事故に関するドキュメンタリープロジェクト「Exposure / Everlasting」に取り組みました。『Exposure』では事故後に生まれ甲状腺の病気を患った女性、マリアの30年の半生を通して目には見えない彼女の障害について伝えます。また、「Everlasting」では同じく原発事故後に生まれ原発作業員として働く若き夫婦、パーシャ、ナレシュカの日常を描きながら、何世代にも渡って引き継がれていく収束作業とそこで生きていく人々について描きます。

 

二つのドキュメンタリープロジェクトは、昨年10月より埼玉県の原爆の図丸木美術館で展示され、今回は、その内容をさらに発展させた形で「30年後に見えなくなるもの」と題して、大阪市福島区のフォトギャラリー・サイで2019年2月1日より開催します。

 

事故を直接経験していない世代へと原発の影響が引き継がれていく中で、世代を超えて私たちはどのように事故に向き合うことになっていくのか。今回は18歳以下を入場無料として、出来るだけ若い人々に足を運んでいただきたいと願っています。

 

そこで、関西圏の小中高、大学も含めた教育機関や若い世代への告知を手伝って頂ける方を探しています。ただ、学校を通しての教育機関への告知は困難と思われ、サークルや団体規模でご興味を持っていただけそうな方々をご存知で告知を手伝っていただける方、また、知恵を貸していただけそうな方を募集中です。

 

また、学生のグループ訪問においては、随時、私自身での展示案内なども行いたいと考えております。

 

A4サイズのフライヤー、ポストカード、ポスターは1月中旬に作成される予定で、そちらを利用しての一般向けへの広報をしてくださる方、フライヤーやポスターを掲示、置かせて頂ける方も合わせて募集中です。

 

詳細は随時ウェブサイトにて更新いたします。

 

【写真展期間】2019年2月1日(金)〜 3月3日(日)
【会場】フォトギャラリー・サイ(1階、2階スペース) 大阪市福島区鷺州
【入場料】大人 800円 (ポストカード付き) 高校生以下無料、大学生、60歳以上半額
【休館日】週二日(曜日は後日決定次第おしらせします。)
【問い合わせ】小原一真(おばらかずま) kazuma924(at)gmail.com

 

 

»Exposure -目に見えない障害
2015年3月に初めてキエフを訪れた私は、翌年に30歳を迎えるウクライナ人女性、マリアとの偶然の出会いを通して、他人の目には見えないチェルノブイリ原子力発電所事故から30年後の被爆の影響を知りました。母親の胎内で被曝をした彼女は、しかし、長年に渡り精神疾患として誤診され、19歳になった時に初めて慢性甲状腺炎(橋本病)という診断を受けました。その後、23歳で甲状腺を取り除いた彼女でしたが、現在も一日10錠から20錠近い錠剤を飲みながら、ホルモンバランスを整え日々の生活を送ります。その行為は彼女が生きている間、ずっと続きます。しかし、それでも健常者のようには生活を送ることが出来ません。彼女は目に見えない障害を抱え、周辺からそれを理解されない環境下で苦しんでいます。私たちが、見ているものは何か、見えないものは何か。私は偶然に得た事故で被爆した中判フィルムを近い、目に見えないチェルノブイリの影響を見るための表現を試みました。
一方、チェルノブイリを取り巻くメディア環境は、30年の中で徐々に変容を遂げていきます。チェルノブイリ事故によって生まれたミュータントを殺していくRPGゲーム「S.T.A.L.K.E.R.」が2007年に発売され、全世界的なヒットをしたことを皮切りに、2011年にはウクライナ政府が原発事故による立ち入り禁止区域を一般旅行者にも開放し、以降、チェルノブイリ原発と隣接し、現在は廃墟となったプリピャチをめぐるツアーには年間1万人が参加し、廃墟を背景にしたセルフィーはSNSを通して、全世界に拡散されています。2013年には、「Chernobly Diaries」というホラー映画もハリウッドで制作されました。マリアのように事故の障害が目に見えづらくなる一方で、分かりやすい形でチェルノブイリというものがエンターテイメントとして消費されています。

 

»Everlasting -事故によって生まれた町、そこで営まれる日常、繰り返されていく人々の生と死。
2011年に福島第一原発作業員のポートレートプロジェクトを始めた私がチェルノブイリを訪れた1番の動機は、30年後の作業員の姿を見て見たいということでした。事故の翌年にソ連政府によって建設された新しい町、スラブチッチ市は、原発に隣接するプリピャチ市から避難してきた作業員の新しい居住地域となり、事故後に引かれた線路は、新しい町と原発をつなぎ、今でも当時使われた同じ列車が通勤に使用されています。いつ終わるかも未だに分からない作業は、ファミリービジネスのように、親の世代から子の世代、そして、孫の世代へと引き継がれていきます。私は、1組の若いカップルとの出会いを通し、彼らを2年間追い続けました。原発で働いていたかつての同僚は恋人になり、結婚し、そして、子供が生まれました。衰退するウクライナという国家、収束作業を生業として存続する町、そこで生まれる新しい命。収束とは何か。それを誰が担うのか。作業員の通勤風景、そして日常の様子を通して、人類が今後、向かい合うべく収束作業について考えます。

 

 

小原一真(おばらかずま)
1985年岩手県に生まれる。写真家、ジャーナリスト。長期プロジェクトとして核、戦争のテーマに取り組みながら社会から見えずらい人々の存在を独自の手法で表現する。2015年、ロンドン芸術大学でフォトジャーナリズムの修士号を取得。2011年の東日本大震災直後に勤めていた金融機関を退職し、故郷、東北の撮影を始める。同年8月には福島第一原発内部を初めて撮影したフォトジャーナリストとして、欧米の各国メディアで発表。 2012年3月にはラースミュラー出版(スイス)から東日本大震災と福島第一原発作業員のポート レート/インタビューをまとめた「Reset」を出版。 2014年、太平洋戦争下で犠牲を負った子どもたちの生涯を描いた「silent histories」を発表し、米TIME誌のBest Photobookに選出される。2015年からチェルノブイリ原子力発電所事故に焦点を当てた「Exposure」 に取り組む。同プロジェクトは、世界報道写真賞「人々の部」で一位を受賞。2018年Editorial RM(メキシコ)から写真集が出版される。国際的なフォトフェスティバルに参加する他、国内外でワークショップを開催する。

***「Exposure」は世界報道写真展2016で世界45か国を巡回しました。その後、国際的な写真フェスティバルにも召喚され、フランス、スペイン、ジョージア、アテネ等で展示されてきました。国内において、ライトボックスで展示するのは、原爆の図丸木美術館、代官山ヒルサイドフォーラムでのPrix Pictet Awardに次ぐ展示となります。