ロシア・ウクライナ戦争ドキュメンタリープロジェクト
Platform on the border (2022-)
2022年3月から始めたロシア・ウクライナ戦争に関する聞き取り及び撮影ですが、現在は、ヨーロッパで歴史的に差別・迫害を受けてきたロマの人々に焦点を当て、これまでチェコ、モルドバ、ポーランド、ウクライナを訪れてきました。ウクライナから戦禍を逃れてもなお、避難先で差別に合う人々やウクライナ国内から逃げたくても移動出来ない人々。ロマという理由で避難場所を分けられ、十分な支援に辿り着くことが困難な人々。それらの聞き取りのから得られた言葉・写真をオンラインエッセイ、冊子、写真集を通して伝えていきたいと思います。ウクライナでの継続的な取材のための資金サポートも随時受け付けておりますので、是非ご支援いただけたら嬉しいです。
Online Essay, Photo Magazine, Photobook, Donation
*現在オンラインでの注文を一時停止しております。ご購入希望の方は、メールにてお問い合わせください。(kazuma924(at)gmail.com)
オンラインフォトエッセイ(取材日誌)全5回 11月配信開始
記事や写真集の中では伝えきれない、取材背景を綴ります。誰と出会い、何を経験し、何を思い、最終的な撮影に至っているのか。
価格 1000円(税込)
フォトマガジン『Blue and Green』 全6冊セット(PDF版、プリント版・ハードカバー付き)
1. オストラヴァ|チェコ
B5版 30ページ カラー 日本語
不法難民の収容所をロマの避難所として使用するチェコ政府。有刺鉄線で囲まれた避難所で生活するロマの人々の記録。
2. ブルノ|チェコ
B5版 14ページ カラー 日本語
支援の手が届かないテント生活を送るロマの人々。
3. キシナウ|モルドバ
B5版 46ページ カラー 日本語
当初から避難所において、白人との住み分けが行われていたモルドバ。住み分けによる支援からの孤立。
4. プラハ|チェコ
B5版 10ページ カラー 日本語
3家族で避難生活を送る一家の記録。
5. アウシュビッツ・ビルケナウⅡ|ポーランド
B5版 14ページ カラー 日本語
ナチスによって虐殺されたロマ家族の収容所跡。
6. オデーサ|ウクライナ
B5版 50ページ カラー 日本語
オデーサ州に住むロマの集落を訪れた記録。身分証を持たないために村からさえ出られない女性。ホロコーストの生存者、差別を受けながらも弁護士資格を取得した学生などインタビューとポートレート.。
PDF版(電子版)11月配信開始
*インターネット経由でダウンロードし、PC、タブレット、スマートフォンなどでご覧いただけます。
2000円(税込)
プリント版 ハードカバー無し
11月発送開始
*手製本で綴じられたプリント版です。
国内送料込 5000円(税込)
プリント版 手製ハードカバー付き
11月発送開始 限定20部
*手製のハードカバー(布製)が付いた
プリント版です。
国内送料込 10,000円(税込)
手製写真集『Blue, Green and Yellow』 限定版 20部 11月中旬発送開始
1. Platform on the border|ポーランド
B5版 220ページ
ウクライナからポーランドへ戦禍を逃れる人々、約100名のポートレートとインタビューを記録。(2022年3月)
2. Blue and Green|
B5版 フォトマガジン6冊と手製ハードカバー
3. Cats, Birds and Flowers|ウクライナ
B6版 50ページ
小原が2015年にウクライナ人の友人からプレゼントしてもらったカメラで撮影した戦前のウクライナの暮らし。壊れかけのシャッターで撮影された風景は、変な光が入り混んだり、被写体の半分が映らなかったり。その気まぐれさが楽しくて、小原が気ままに撮影した友人の日常風景。
4. オリジナルプリント
B6変形版
国内送料込 28,000円(税込)
小原一真写真展
「ウクライナ避難民とロマの人々」
日程:8月18日(木)~9月11日(日)*展示期間の延長が決まりました。
会場:梅田スカイビル タワーイースト 3階
2020年3月、私はウクライナ避難民の最大受け入れ国であるポーランドへ向かった。戦争が長期化の様相を呈する中、故郷を離れた一人ひとりの状況を自分の目で確かめたかった。約二週間の滞在中、首都ワルシャワやウクライナに面した国境の町を訪れながら約90名の人々に出会い、撮影を行った。自宅が爆破され、数日間に及ぶ国内避難の後に国境を渡り終えたばかりの家族。難民センターで寝泊し、次の行き先を決めかねていた親子。既にアパートやホテルなどに居住し、仕事を探し始めた母親たち。子供を学校に通わせるための登録の列に並ぶ母子。数日間の避難と思ってポーランドに逃げてきたはずが、一週間たち、二週間たち、そして、一ヶ月が経過しようとしていた。故郷に帰れないかもしれない不安は日に日に増し、そして、戦火を逃れた安心感さえも、自分だけが安全圏にいることへの罪悪感や故郷を離れた後ろめたさに変わり始めていた。戦争は、それぞれの感情の拠り所となる土台を破壊し、人々の心情をより一層不安定なものにさせていた。
6月、私は再び東ヨーロッパへ戻った。3月に撮影出来なかったウクライナのロマの人々を取材をするためだった。ロマとはヨーロッパ各地に住んでいる少数民族で、文化・生活様式、肌の色の違いなどから、歴史的に差別・迫害されてきた人々である。ウクライナ国内だけで40万人(全世界で約1200万)ほどのロマの人々が住んでいると言われている。私は、チェコ、モルドバ、ポーランドでロマの人々の避難所を訪れ、戦時下でさえも不平等な保護の下、生活を続けている人々に出会った。また、私はウクライナのオデーサ州にあるロマコミュニティーを訪れた。極度の貧困状況にあり、避難する資金さえままならない人々。身分証をもたないためにウクライナ軍の検問所さえ越えられない人々。戦時下、立場の弱いマイノリティーは、様々な困難に直面しながら孤立状況に置かれている。
主催
ウクライナ写真展実行委員会
協力
積水ハウス株式会社
一般財団法人ダイバーシティ研究所
フォトビション ジャパン株式会社
関連イベント
【地域の国際化人材養成講座】
ウクライナ避難民・難民支援から
多文化共生社会を考える
日時:令和4年8月21日(日)14:00~16:30
場所:梅田スカイビル スペース36L
対称:一般市民(特にウクライナ避難民支援・難民支援に関心のある方)
定員100名
参加費用:無料
◉トーク
小原一真氏
(写真家、ジャーナリスト)
「ウクライナ避難民との出会い
~ファインダ―を通して見えたもの~」
◉パネルディスカッション
コーディネーター:田村太郎氏((一財)ダイバーシティ研究所代表)
パネリスト
明石純一氏 (筑波大学人文社会系 教授)
石川美絵子氏((社福)日本国際社会事業団 常務理事)
小原一真氏 (写真家、ジャーナリスト)
◉基調報告1
「世界的難民の状況及び日本の経験と課題」
明石純一氏
◉基調報告2
「難民や外国人ルーツの人々に寄り添う支援」
石川美絵子氏
◉報告
「難民の地域定住支援ガイドブック」と笹川平和財団の取組み紹介
主催
(公財)大阪国際交流センター
(公財)笹川平和財団
後 援
(社福)大阪ボランティア協会
お申し込み、詳細は下記のリンクをご覧ください
https://www.ih-osaka.or.jp/2022/07/27/2022jinzaiyouseikouza/
ロシア・ウクライナ戦争に関する撮影資金のサポートを募っています(9月28日:終了しました)*サポート頂いた方には、支払いの際に登録したメールアドレスに進捗のお知らせを送ります。)
サポート資金は渡航費、現地での滞在費、コーディネーター、通訳などの費用に充てられます。帰国後に支援額に応じたお礼を致します。
*支援金
1口 1,000円
( 1口から100口まで末尾のプルダウンメニューからご選択下さい。Paypal、各種クレジットカード対応。口座振込先は一番下に記載)
*お礼
1〜4口
A:『取材に関するメールマガジン(2022年6月下旬から8月の間に3回を予定)』
5〜9口
AとB:『取材内容をまとめたオリジナルZINEのPDFデータ(8月発送予定)』
10〜14口
A、BとC:『 取材内容をまとめたオリジナルZINE1冊(9月発送予定36ページを予定)署名入り』
15〜19口
A,B,CとD:『オリジナルプリント1枚(A4変形、9月発送予定)署名入り』
20〜29口
A,B,C,DとE :『オリジナル手製写真集1冊
(サイズ未定10月以降の発送予定)署名入り』
30〜99口
A,B,C,D,EとF:『オリジナルプリント(A3変形、10月発送予定)署名入り』
100口
A,B,C,D,E,FとG:『額付オリジナルプリント(A3変形、10月発送予定)署名入り』
2022年6月投稿
2014年に大阪大空襲で被害にあった子供たちの戦後を取材し「silent histories」という本にまとめました。その取材過程で、空爆で足を失ったり、全身にやけどを負ったり、両親を失った方々に会い、そのハンデゆえに、「足手まとい」とされ、差別され、戦後の日本社会から排除され続けた人々の、現在まで続く、苦しさ、悔しさなどの痛みを知りました。それ以降、私自身の大きなテーマの一つとして、社会から見えづらい人々の長期的な戦争の影響というものを一つの軸に置き、取材を進めてきました。新型コロナウイルスのパンデミックが起きる直前まで、第二次世界大戦中に日本軍が侵攻した地域で犠牲を負った子供たちの戦後を取材していました。東南アジア、ヨーロッパ、オーストラリアを巡りながら、当時子供だった犠牲者が向き合ってきた70年間について聞いてきました。そして、どの地域においても明白だったのは、政治的に力を持たないマイノリティーの人々(当然そこに含まれる子供たちもまた)その影響を長期に渡って受け続けてきたことです。
2022年2月24日、ロシア軍のウクライナへの侵攻後、これまでの撮影でお世話にってきた私の友人の多くが避難民となり、そして、最も親しい友人の一人が兵士として最前線で戦う中、自分に何か出来ることはないだろうかと、避難民の最大受け入れ国であるポーランドへ向かいました。そこでは、様々な人の力を借りながら、100名ほどの避難民の撮影を行い、未来への不確かさの中で、感情の拠り所となる土台が失われていくこと、戦火を逃れてきた影響とその心的状況が、どのように表出していくのかという状況について、話を伺ってきました。そこでの写真とインタビューは少しずつですが、新聞や展示を通して、発表しています。
しかし、ポーランド滞在中、不本意な思いのまま撮影出来なかった人々がいました。それは、ウクライナから避難していた少数民族のロマの人々です。先にも触れたように、政治的に力を持たないマイノリティーは、戦時においてより困難に直面します。特に平時から偏見をもたれ排除されてきた人々は、非常時においては、マジョリティーの脅威と見なされるケースも出てきます。今回の戦争の被害者の中で、そのマイノリティーにあたる集団の一つがロマの人々です。ヨーロッパにおいて歴史的に迫害を受けてきたロマの人々は、戦時下においても差別に直面しています。既に人権団体や欧米メディアが伝えているように、ウクライナから国境を越えられずに国外へ避難出来ないケース、避難所で締め出されるケースなどロマに対する差別的対応が多数報告されています。日本の大手メディアの報道の中にも、ロマの存在を支援物資を狙う物乞いとして伝えている記事もあります。私の出会った避難民の中にも、ロマの人々と避難をともにする過程で、彼らがものを盗むのではないかと思い、とても怖かった、という言葉や、彼女たちは避難民ではなく、ホームレスかもしれないという声も聞きました。私のウクライナ人の友人も、積極的に関わりを持つことは避けたい様子だったこともあり(言語が通じないという理由もありました)、撮影を断念した経緯があります。
今回、それらの状況を経て、6月中旬から2週間、ロシア・ウクライナ戦争で特にロマの避難民に関する取材を行うために渡航を予定しています。状況に応じて、ウクライナ周辺国及びウクライナへ滞在予定です。
戦争が現在進行形で続く中、幅広い視野を持ち、社会が様々な立場の人を包摂しながら、支援が行われることを心から願っています。
小原一真
関連リンク
破壊された「感情のプラットフォーム」 戦禍逃れても不安際限なく(毎日新聞 2022/5/28)
[Talk] 「難民 | ウクライナ難民危機の最前線から」小原一真 (写真家)× 仲西祐介(KYOTOGRAPHIEの共同創設者/共同ディレクター)(2022/04)
原発事故がなかったら、私たちはこの街で生まれていない
小原一真のジャーナリズムが伝えるチェルノブイリ(IMA 2019/12)
お問い合わせ
小原一真 kazuma924(at)gmail.com